日本ディックス Pentaconn Scyne α01をオーディオ専門店スタッフがレビューします。プラチナメッキを施した真鍮製ハウジングと内部損失が高く応答性に優れた振動版を搭載、クリアネスの高い明るめなサウンドが特徴のイヤホンを詳しく紹介します。
日本ディックスは1997年に創立された日本の電子製品メーカーです。オーディオの世界では以前から4.4mm5極プラグやイヤホン用端子でおなじみの「Pentaconn」ブランドとしてよく知られていますが、最近ではさらに金属コアを内蔵した新機軸のイヤーピース「COREIR(コレイル)」のメーカーとしても高い人気を誇っています。
その日本ディックスから、ブランド初のイヤホンがリリースされることになりました!それがこちらの「Pentaconn Scyne α01(ペンタコン サイン アルファ ゼロワン)」(以下「Scyne α01」)です!
今回はこのScyne α01について、その特徴と音質をお届けします。
まずはパッケージ内容からご紹介。イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース、クリーニングクロス、取扱説明書などのドキュメント一式となっています。なお、今回はサンプルということで間に合いませんでしたが、製品版にはオリジナルデザインの革製イヤホンケースも付属するとのことです。
こちらがイヤホン本体。全体的に円や流線形をメインとしたデザインになっていますが、リング状のパーツがひときわ目を引く特徴的な造形です。筐体素材には真鍮を採用、さらにその表面には変色に強く長期間白い輝きを保つことで知られるプラチナでメッキ処理を施しています。
この素材ひとつとっても、真鍮は特有の低域-中低域を残しつつ、クセが少なく籠り感の無くなるラインを見極めて成分構成から見直し選定、プラチナメッキは金属アレルギーを引き起こさないようニッケルフリー下地めっきを採用するなど、ブランドのこだわりがいくつも込められています
こちらは筐体内部の開発サンプルです。ここでは3パターンのみのご紹介ですが、伸びのある見通しの良い音場を実現するためになんと1,000とおり以上のサンプルの中から製品版の筐体が生み出されたとのことです。
搭載するドライバーにも、ひとあじ違ったこだわりが発揮されています。
音のひずみや付帯音、共振点でのピークを最小限に抑えるため、内部損失(振動を吸収する性質)が高く、樹脂素材の中でも特に軽さと硬さをあわせ持ったLCP(Liquid Crystal Polymer=液晶ポリマー)製のドームを採用。
さらに、内部損失や耐久性にこだわり、柔らかくスムーズな動きを可能とするというLSR(Liquid Silicone Rubber=液体シリコンゴム)エッジを組み合わせた”LCPドーム+LSRエッジの10.2mm径複合振動板”を搭載しているのが、このScyne α01の特徴です。
筐体内部はこのドライバーのほか、”ダブルリアチャンバー”と呼ばれる2つの部屋で構成されています。振動板により動かされた空気が2つの部屋を通過することで内部の空気圧が最適化され、タイトな低域や高域の繊細な表現などドライバーユニットの持つ解像度を最大限に引き出す、という仕組みです。
また、音響モジュールをイヤホン筐体内部に設置し、音の内部反響を防ぐというHDSS技術も搭載することで、ひずみの少ないクリアなサウンドと自然な臨場感を実現しているとのことです。
付属ケーブルに使われているイヤホン端子はもちろんPentaconn earコネクタ。プラグも当然ながら4.4mm Pentaconnプラグで、しかもより高音質なOFC(無酸素銅)タイプを採用しています。線材もこのScyne α01に合わせてチューニングを施した、銀コート6N OFCの4芯ケーブルとなっています。
イヤーピースは乳白色のシリコーンタイプ(S/M/Lの3サイズ)と…
もちろんこちらも付属します。
先日発売されたばかりのアルミ合金製コアを内蔵した人気イヤーピース「Pentaconn COREIR AL ALLOY」(4サイズ)!Sは黒、MSは青、Mは黄、Lは赤とそれぞれのサイズごとに軸部分が色分けがされているので、付け替えの際にも非常にわかりやすくなっています。
それではいよいよScyne α01の音質を確認してみましょう。プレイヤーにはAsell&Kern KANN ALPHAを組み合わせ、まずはシリコーンタイプのイヤーピースを装着して聴いてみます。
クリアネスの高い、中高域メインの明るめなサウンドバランスです。高域はスッキリとして歯切れよく、中域は特にハキハキと生々しいボーカルが際立ちます。低域はタイトで量感は控えめですがアタック感はしっかりとあるため物足りなさはありません。音場はリスナーの周辺にやや広がる程度。歌モノを聴くのに最適な音作りであるように感じました。
ここでイヤーピースを「Pentaconn COREIR AL ALLOY」に変更してみると、また印象がガラリと変わります。高域は人によっては刺さり気味になるのでは、というくらいに鋭く、低域にはホール感が加わったかのように量感がアップ。音場もひとまわり広がるようで、ボーカルは1歩下がったポイントから聴いたイメージへと変化し、いわゆるドンシャリ傾向のサウンドバランスになりました。
イヤホンそのものが素直な傾向の音であるためか、COREIR ALLOYによる音の変化がかなりわかりやすいように思います。この2種類のイヤーピースでも充分に楽しめますが、黄銅製コアの「Pentaconn COREIR BRASS」(別売)などその他のイヤーピースをご用意いただくと、より一層魅力を発揮してくれるイヤホンなのではないでしょうか。
ドライバー | ハイブリッドドライバー | ドライバー数 | Φ10.2 mm LCPドーム+低硬度LSRエッジ複合振動板+N55グレード ネオジムマグネット磁気回路 |
---|---|---|---|
形式 | カナル型 | 周波数応答範囲 | 10 Hz - 22 kHz |
入力感度 | 110dB | インピーダンス | 16Ω |
【商品情報】日本ディックス Pentaconn Scyne α01
» 詳細を見る