AKG N5 Hybrid をオーディオ専門店スタッフがレビューします。新世代コーデックLC3plus対応ドングル接続で中高域メインのAKGサウンドを高音質で楽しむことができる、AKGが久々にリリースするワイヤレスイヤホンを詳しく紹介します。
目次
AGKとは
N5 Hybridの特徴
N5 Hybridの音質レビュー
まとめ
AKG(アーカーゲー)は1947年、オーストリアの物理学者・発明家のラドルフ・ゲリケ博士とエンジニア兼セールスマンのアーンスト・プレス氏によって”音楽の都”ウィーンで設立された歴史ある音響ブランドです。この特徴的なブランド名は「Akustische und Kino-Geräte Gesellschaft m.b.H.」(日本語に直訳すると「音響および映画用装置の会社」)の略で、オーストリアの公用語であるドイツ語読みで「アーカーゲー」と呼ばれています。
そのAKGから久々の新製品が、しかも2モデル同時に発表されました!そのうちのひとつがこちらの完全ワイヤレスイヤホン「N5 Hybrid」です!
今回はこのN5 Hybridについて、その特徴と音質をお届けします。
まずはパッケージの内容からご紹介しましょう。透明なブリスターにはイヤホン本体とイヤーピース(S/M/Lの3サイズ・Mはイヤホンに装着済み)、Type-C→A変換アダプタ、そしてなにやらUSB Type-C端子のついた小さな装置がそれぞれ格納されています。そのほかの付属品は充電用USBケーブルに充電ケースと、先ほどの”小さな装置”を覗けば一般的な完全ワイヤレスイヤホンと同じような内容です。クイックガイドなどのドキュメント類も付属しています。
カラーは今回サンプルとして使用したブラックとホワイトの2色展開となっています。
こちらがイヤホン本体。いわゆるスティック型の完全ワイヤレスイヤホンですが、やっぱり「AKG」のロゴが入ると特別感がありますね。
イヤホン本体上部には左右を示すL/R表記のほか、点字でL/Rを示すドットも刻まれています。
ステム(軸)は完全ワイヤレスイヤホン特有の短めタイプです。本体内側にはこれまでのAKG Nシリーズ同様、モデル名が刻まれています。
完全ワイヤレスイヤホンには欠かせない専用アプリ「AKG Headphones」ももちろん提供されています。アプリからはノイズキャンセリングおよび外音取込の切替、タッチ操作のカスタマイズ、各種イコライザー設定といったことはもちろん…
「最適なフィット感をテストする」機能も搭載されています。使い方は簡単、イヤホンを装着してからスタートボタンを押すと流れてくるチェック用サウンドを数秒間聴くだけです。ためしに右のイヤーピースを外した状態で実行してみたところ、このとおり「不完全な密閉状態」と指摘されてしまいました。自分に合ったイヤーピースのサイズはどれだろう…とお悩みの際にはぜひこの機能でご確認ください。
N5 HybridはSBC、AAC、LDACといったおなじみのコーデックのほか、新世代コーデック・LC3の拡張版である「LC3plus」にも対応しています。このLC3plusは従来コーデックよりも低遅延で接続の安定性も高く、96kHz/24bit相当のハイレゾ音声伝送が可能というまさにオーディオのための”新世代コーデック”なのですが、まだまだ対応機器が少ないのが現状です。
そこで活躍するのが、N5 Hybridに付属する”USB Type-C端子のついた小さな装置”こと「ドングル」です。これをスマートフォンなどに装着することで、もともと非対応の機器でもLC3plusでの接続が可能となります。つまり、Type-C端子を搭載したiPhone15でもLC3plus接続で音楽を楽しむことができるのです。
ドングルを装着した状態では、アプリ上でもスマートフォン内蔵のBluetooth接続かドングル接続かを選択可能になります。現在の接続先はイヤホン画像の上に表示されるので、変更時にはここをタップすると切替メニューが表示されます。
なお、現時点ではドングル接続時にはイヤホン側からの操作やSiriなど音声アシスタント機能が利用できないようです。これらは今後、ファームウェアのアップデートで改善される予定とのことです。また、このドングルはN5 Hybridとの組み合わせでのみ動作が保証されているため、他の製品では基本的に使用できないとのことでした。
それでは音質の方もチェックしてみましょう。N5 HybridとiPhone15 Pro Maxをドングル経由で接続し、サブスク音源(ロスレスおよびハイレゾ)で何曲か聴いてみました。なお、ノイズキャンセリング機能はON、イコライザはOFFにそれぞれ設定しています。
中高域をメインとしたサウンドバランスに広い音場と、いわゆるAKGサウンドがそのままワイヤレス化されたような印象です。低域はタイトながら芯があるので線の細さは感じさせず、AKG特有の繊細さとともに必要充分なパンチ力を持っているかと思います。
ここでドングル接続からBluetooth接続(AAC)に変更してみます。するとサウンドバランスは低域の量感が増えて中低域がメインになり、音場もぐっとリスナーに近くなるような変化がありました。さらに大きく変化したのが音の鮮度感で、こうして比較するとLC3plus接続時のS/N比の高さが非常にわかりやすく体感できるのではないでしょうか。
一方で、音質面ではたしかに優れるLC3plus接続ですが、バッテリー消費面ではBluetooth接続時のイヤホン単体の連続再生時間が約8時間(ノイズキャンセリングON)であるのに対し、LC3plus接続時の連続再生時間は約4時間(ノイズキャンセリングON)と半分になってしまうなど運用面では不利なポイントもあります。高音質とバッテリー消費量はこのモデルに限らずどうしてもトレードオフの関係になってしまうため、ここは利用シーンに応じた切り替えが必要ですね。
ノイズキャンセリング | 対応 | 外部音取込 | 対応 |
---|---|---|---|
マルチポイント | 対応 | 片耳モード | - |
対応コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3plus(USB ドングル使用時)※LC3 はファームウェアアップデートにより予定 | 連続再生時間 | ANC オン時:最大約8時間/ 最大30時間(ケース込み) |
【商品情報】AKG N5 Hybrid
» 詳細を見る