AKG N9 Hybrid をオーディオ専門店スタッフがレビューします。新世代コーデックLC3plus対応ドングルを採用、明瞭な中高域と前後左右に広がる音場が特徴のAKGサウンドを手軽に楽しめるワイヤレスヘッドホンを詳しく紹介します。
目次
”AKG Rebirth”とは
N9 Hybridの特徴
N9 Hybridの音質レビュー
製品仕様
まとめ
AKG(アーカーゲー)は1947年、オーストリアで設立された音響ブランドです。
大人気アニメで描かれたヘッドホンのモデルとして話題となったK701(2006年発売)、ダイナミック型とBA型という異なるドライバーを組み合わせた”ハイブリッド構成”の火付け役となったイヤホン・K3003(2011年発売)といった名機の数々でも知られる名門ながら、ここ数年は製品展開もややおとなしかった印象…ですが、そのAKGがこの春、長い眠りから覚めたかのように「AKG Rebirth」と銘打って久々に新製品2モデルを発表!そのうち、完全ワイヤレスイヤホン「N5 Hybrid」についてはさっそくレビュー記事で詳細をお伝えしました。
AKG N5 Hybrid レビュー | AKGサウンドと最新テクノロジーが融合したワイヤレスイヤホン
» こちらの記事を見る
そして同時に発表された新型2モデルのもうひとつがこちら、ワイヤレスヘッドホン「N9 Hybrid」になります!
このN9 Hybridについても、その特徴と音質をお届けしたいと思います。
まずはこちらもパッケージの内容からご紹介しましょう。三角形のキャリングケースを開けるとヘッドホン本体がお目見え。その下のポケット部分にはオーディオケーブル(約1.2m)、充電用USBケーブル、Type-C→A変換アダプタ、飛行機で使用するためのフライトアダプターがそれぞれ格納されています。
こちらがヘッドホン本体。ハウジングが水平に開く”スイーベル機構”は内側のみに可動します。
右ハウジングには電源スイッチ、再生・ポーズ・進む・戻るなどを操作するためのマルチファンクションボタン、充電用USB Type-C端子を搭載しています。なお、このUSB端子は充電専用のため、いわゆるUSB-DAC機能は搭載していませんのでご注意ください。
もうひとつ、右ハウジングの表面(プレート)部分は上下方向に軽く回転させることができるようになっていて、ダイヤルのようにボリュームアップ・ダウン操作が可能です。
左ハウジングには有線で使用するための3.5mmオーディオ端子と、ノイズキャンセリング・アンビエントアウェア(外音取込)・トークスルー(会話)の各モードを切り替えるためのアンビエントボタンを搭載。
なお、N9 Hybridを有線で使用する場合、電源オン時にはワイヤレス時と同じくノイズキャンセリング・アンビエントアウェア・トークスルーの各機能が使用可能なほか、電源をオフにしていても音声出力が可能となっています。
さらにユニークなポイントがこちら、左ハウジングのプレート部分をスライドさせると中から「USBドングル」が登場!これはN5 Hybridと同じく、新世代の高音質コーデック・LC3plus対応のドングルとなっています。
なお、現時点ではドングル接続時にはイヤホン側からの操作やSiriなど音声アシスタント機能が利用できないようです。これらは今後、ファームウェアのアップデートで改善される予定とのことです。また、このドングルはN9 Hybridとの組み合わせでのみ動作が保証されているため、他の製品では基本的に使用できないとのことでした。
イヤーパッドおよびヘッドバンド部はしっとりとした感触の人工皮革が使われています。イヤーカップはすっぽりと耳を覆うタイプで、内側にはL/Rの表記も。
完全ワイヤレスイヤホン・N5 Hybrid同様、専用アプリ「AKG Headphones」と組み合わせることでさまざまな機能の切り替え・調節をすることが可能です。ただし、N9 Hybridの場合にはフィット感テスト機能は省略されていました。
それでは音質チェックです。N9 HybridとiPhone15 Pro Maxをドングル経由で接続し、サブスク音源(ロスレスおよびハイレゾ)で何曲か聴いてみました。なお、ノイズキャンセリング機能はON、イコライザはOFFにそれぞれ設定しています。
明瞭な中高域と前後左右に広がる音場が特徴の、こちらもN5 Hybrid同様にしっかりと従来のAKGサウンドを引き継いだ音作りであるように感じます。タイトな低域がバシッと定位よく決まるので、全体的にはシャープで硬質な印象です。
ここでドングル接続からBluetooth接続(AAC)に変更してみます。これでN5 Hybridのようにサウンドバランスがガラッと変わるかと思いきや、このN9 Hybridでは通常のBT接続でも全体的な音の印象はあまり変わらないようです。ただし音の”解像度”に関してはやはりまったく異なり、特に高域のザラつきや曇りといった部分がBT接続ではハッキリと感じられました。N9 HybridでもLC3plus接続時の音質の優位性が充分に味わえるかと思います。
それではN5 Hybridで気になったバッテリー消費面はどうでしょうか。N9 HybridではBluetooth接続時のヘッドホン単体の連続再生時間が約55時間(ノイズキャンセリングON)であるのに対し、LC3plus接続時の連続再生時間は約45時間(ノイズキャンセリングON)と、それなりに差はあるもののLC3plus接続でも実用面で困ることはなさそうです。
ただし、iPhone15 Pro Maxでの使用時にちょっと気になったのが「音量があまり上げられない」という点でした。今回の試聴ではそれほど極端なボリュームで聴いてはいないのですが、それでもiPhone上のボリュームで95%まで上げていました。他のAndroid端末で試したところもっと低いボリューム位置でも同じくらいの音量になったため、これはiPhoneと組み合わせた場合のみ生じる現象のようですが、大きめの音量で使いたいという方はご注意ください。
形式 | ダイナミック・密閉型 | アクティブノイズキャンセリング | リアルタイム補正機能付きハイブリッドノイズキャンセリング |
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Bluetooth | ver5.3 | コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3plus(USB ドングル使用時)※LC3 はファームウェアアップデートにより予定 |
バッテリー | 最大55時間(ANC ON) | 充電時間 | 10分(6時間動作) |
【商品情報】AKG N9 Hybrid
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